正しいストレッチ、間違ったストレッチ2
2020/09/12
上田
馬込沢うえだ鍼灸院院長
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進
roo
健康に興味のあるネコ
出身地:千葉
好きな食べ物:肉
roo
ストレッチは、体を傷めてしまうようなものでなければ、どんなやり方でやってもいいというお話でした
上田
できるだけ目的に即したやり方がいいね
roo
ストレッチは体に働きかけるものと、心にたいしてのものがあるんですよね
上田
そう。気持ちを落ち着けるために行うストレッチは、ヨガのようなものだね。心とは、ここでは脳と考えることもできるね
roo
なるほど。ストレッチとヨガは、見た目もよく似ていますしね
上田
ストレッチは、カリフォルニア州立大学のボブ・アンダーソンという人が著した「Stretching」によって広まったといわれているよ。この際、ヨガを参考にしたということもあって、ストレッチとヨガはとてもよく似ているんだ
roo
へぇ
上田
かといってストレッチとヨガはまったく同じではないよ
roo
どこか違うんですか?
上田
「ストレッチ(stretch)は「伸ばす」という意味だから、エクササイズとしてのストレッチは筋肉を伸ばそうとすることが前提とされる。つまりストレッチはどちらかというと体にたいしてのものだね
roo
はい
上田
いっぽう、ヨガには「つなぎとめる」という意味があるんだ。これは心がどこかにいってしまわないように、ヨガをやることで「つなぎとめておく」ということだから、ヨガはストレッチよりも心というものに重きをおいているね
roo
ヨガは別に筋肉が伸びていなくてもいいということかな
上田
そうだね。実際に単に座るだけや、立つだけのヨガもあるよ
roo
いろいろあるんですね
上田
ポーズをとったほうが集中しやすいから(つまり心がどこかに行ってしまわないから)ポーズをとるんだね
roo
座るだけ、立つだけだと雑念が沸きやすいということでしょうか?
上田
座禅でも無心になるのはとても難しいね
roo
無理ですね
上田
心のためにということでストレッチやヨガ(座禅も)を行うとき、あるていど時間をかけるのは、そのほうが、いわゆる瞑想状態になりやすいからなんだ
roo
瞑想状態?
上田
「リラックスしていて、集中もできている状態」かな。座禅を日課にしているお坊さんは、短時間で瞑想状態に入ることができるそうだよ
roo
脳をリラックスをさせるために、それなりの時間が必要ということですね
上田
そうだね。例えば慢性腰痛をよくしようとストレッチをするときでも、筋肉の柔軟性を高めたり、関節可動域を広げたりすることだけが目的じゃないよ
roo
といいますと?
上田
腰痛は、痛いのは腰だけど、その腰が痛いことを認識しているのは脳でしょう。ストレッチには脳をリラックスさせることで、痛みに対する感受性を正常に戻すといった目的もあるんだ
roo
にゃるほど
上田
腰痛は、必ずしも体が硬い(柔軟性が低い)ことや、関節可動域が狭いことで起きるわけじゃないからね。体が柔らかくても腰痛になる人はいる
roo
そうですね
上田
体の柔らかい人が腰痛になった場合、すでに柔らかいんだからストレッチをやる意味はないかといえば、そんなことはないよ
roo
わかります、目的が違うんですね
上田
そういうこと。人間の体は機械じゃないから、筋肉の柔軟性や関節の可動域が高まるなど動きがよくなれば、痛みもなくなるかといったら、必ずしもそうではないんだね
roo
はい
上田
まぁ、なんにせよ、ストレッチは体にも心にもいいから、みんなやるといいね
roo
みんな、やってくださーい
腰痛は、痛むのは腰ですが、腰が痛いと認識するのは脳です。痛みの原因が単に関節可動域の狭さにあるのであれば、関節可動域が広がることによって痛みは改善されます。しかし人間の体は機械ではないので、単に錆びついて動きの悪くなったところに油を挿して、動きがよくなってもそれで痛みが改善されるとは限りません。脳内で痛みの閾値が下がることによって起きている腰痛であれば、痛みの閾値を元の状態に戻す必要があります。そのため、腰痛などの「痛み」を改善させることを目的にストレッチやヨガをやるときのポイントは、あるていど時間をかけるということになります。