刺絡療法について
刺絡とは、末梢血液循環(引いては全身の血液循環)を良好にすることを目的として、東洋医学で古来よりで行われている治療法です(古代ギリシャやローマなどでも行われていた)。
血流の停滞(これを東洋医学では「血瘀」という)は万病の元といわれるように、血液循環を良好にしておくことは、脳梗塞や心筋梗塞など血管障害だけでなく、病気の治療や予防に大変有意義であるといえます。
各血管領域における含有量は、大動脈と細動脈を合わせた動脈血量は全血液量のわずか14%に過ぎません。循環障害を改善するためには、動脈血量以外の86%に相当する毛細血管と静脈における血流を円滑にする必要があります。
薬や食事で循環をよくするという考えには矛盾があり、循環が悪ければ薬効や栄養を物質交換する場所まで届けることができません。つまりは薬を服用して、どんなに健康的な食事をしても、滞ってしまった末梢循環をよくすることなしに問題を解決するのは難しいということになります。何をするにも先ずは血液循環障害の改善が第一と考えるのが妥当です。
毛細血管の内径は約5~8ミクロンで、正常な赤血球の直径は8ミクロン程度とされています。この赤血球が毛細血管の中に入り込むためには、変形する(赤血球の変形能)必要があります。正常な赤血球は変形能が正常ですが、赤血球が古くなったり、血糖値やコレステロール値の異常等により変形能が低下すると、毛細血管につまりやすくなってしまいます。現代医学では循環障害改善のために、主に薬物・食事・運動などが重要と考えられていますが、末梢循環に働きかけるにはこれだけでは十分ではありません。
循環障害の原因には、血液自体の異常以外に疲労や老化に伴う循環機能の低下、降圧剤による必要以上の血圧低下、冷えや凝りによる末梢血管の収縮などがあり、これにより老廃物の処理と排泄機能が低下し、結果として動脈硬化や血圧の上昇が起きると推察され、老化以外のものに対しては、刺絡や鍼灸・マッサージ・光線療法といったものが有効です。
刺絡を行う部位としては、肩こりなら肩、腰痛なら腰といった症状部位に行う方法や、井穴(爪の際のツボ)から行う方法などがありますが、全身の血液循環を良くするということを考えるならば、井穴刺絡が欠かせません。
「刺絡の道」友部和弘著 (株)谷口書店より
〇21世紀の医学
浅見鉄男(医学博士)氏は、1998年に刺絡療法について「21世紀の医学・近代文芸社」を著しています。刺絡療法は、19代・允恭天皇(5世紀前半に実在)にはすでに日本にあったといわれています「日本医師学雑誌。46巻第3号(2000)」。古くからある刺絡療法がなぜ21世紀の医療なのか?現在、40兆円を超える日本の医療費は、国民生活の大きな負担となっています。浅見氏は、薬をはじめとする現代西洋医学に偏ってしまった結果、後を絶たない副作用で苦しむ人を減らすだけでなく、増え続ける医療費を何とか抑える必要があるとの考えから、刺絡療法を「21世紀の医学」としたのではないでしょうか。
当院では、通常の鍼灸治療や光線療法と合わせて、2~4週に1回程度の刺絡療法をお勧めしています。
刺絡療法費 : 2,000円
※刺絡療法のみの治療はありません。
※通常の鍼灸治療もしくは光線療法と合わせて刺絡療法をお受けになることで、治療効果が高まります。
※2~4週に1回程度、刺絡療法をお受けになることをお勧めしています。
※刺絡と瀉血の違いについて
刺絡は血液循環を良好にすることを目的に行うものです。結果的にごく微量の出血がありますが、出血自体を目的としている瀉血とは異なるものです。