病と証
上田
馬込沢うえだ鍼灸院院長
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進
roo
健康に興味のあるネコ
出身地:千葉
好きな食べ物:肉
roo
中医学では証に対して治療していくと聞きました。証ってなんですか?病と証は違うんですか?
上田
病は病気や病名のこと。証とは、その人の状態もしくは体質のことだね。現代医学では、病名を決定して、それに対して薬などの処方をしていくんだ。だから病名が付かなければその先に進めないということになってしまうけど、実際は病名が付けれないようなものがたくさんあるんだよ
roo
不定愁訴というやつですね
上田
そうだね。その点、状態や体質がないなんてことはない。だから証を相手にした場合、積極的な治療ができるよ
roo
にゃるほど
上田
それから、例え病気(病名)が同じでも証が違えば治療法が違ってくるよ
roo
といいますと?
上田
例えば、不眠症。肝火上炎によるもの、心腎不交によるもの、瘀血や痰湿にアプローチした方がいいものなど、いろいろあるよ。不眠は最終的には心血の不足によって起こるんだけど、そこに至るまでの過程が違うんだ
roo
効果的な治療をするなら、しっかりと証を見極める必要があるということですね
上田
そうだね。同じ不眠でも証が違えば使うツボが違ってくる、これを同病異治というよ
roo
同病異治
上田
逆に病気(病名)が違っても証が同じなら、同じツボを使って治療する。これを異病同治というね
roo
異病同治
上田
肝火上炎は、不眠以外にも、頭痛、肩こり、うつ、めまい、ひどいものだと脳血管障害に至るケースもあるよ
roo
これらの病気の治療や予防には、肝火上炎をよくしていかなければいけないということですね
上田
逆に、不眠も肩こりも、うつもめまいも脳血管障害も、肝火上炎によるものだけじゃない、それぞれ証があるよ
roo
ああ、なるほど
上田
だから病名だけにこだわってしまうと中医学的な治療ができなくってしまうんだよ
roo
はい
上田
中医学で、一つの病名に特化した治療ということをしないのは、こういう理由があるからなんだ
roo
「一人の人の全体をみる」というのもそういうことですか?
上田
はい、そういうことです
症状というものは、弱いところに出ます。
同じ腎虚でも、お腹が弱いという人もいれば、耳鳴りが気になる人もいれば、不眠症の人もいれば、
不妊症に悩む人もいます。
同じ人間であっても体質はみんな同じではありません。
辛いのが好きな人いれば、辛いのが嫌いな人もいるように、
その人に合った治療をするのが中医学の一つの特徴です。
中医学で病名にのみ焦点を当てた治療をしないのは、そのような理由からです。