東洋医学的体質判断・説明
2020/09/01
上田
〇脾虚タイプ
・胃腸が弱く疲れやすいタイプ
「気(生命活動のためのエネルギー)」には、両親から受け継ぐ「先天の気」と、飲食物から得る「後天の気」があります。脾虚タイプのひとは、胃腸が弱いために後天の気をうまく体内に取り入れ、それを活用することが苦手です。
・脾虚の人がなりやすい病気
胃炎、腸炎、下痢、便秘、胃下垂や脱肛などの内臓下垂、カゼをひきやすい、呼吸器疾患、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患etc
〇腎陽虚タイプ
生命力が弱く熱が不足しやすいタイプ
人間がもつ五臓うち「腎」が弱く、体内で熱をつくることがうまくできません。腎は老化との関りが深いために、腎が弱くなると、耳が遠くなる、髪の毛が薄くなる、腰が曲がる、睡眠が浅くなる、トイレが近くなるなどのことが多くみられるようになります。一般的に老化現象と呼ばれるものですが、これらが病的に起こるようであれば治療の対象となります。
・腎陽虚の人がなりやすい病気
慢性腎炎、不妊症、インポテンツ、頻尿、冷え症、腰痛、脱毛症、難聴、認知症etc
〇血虚タイプ
「血(けつ)」の少ないタイプ
全身に栄養を与える血が不足していて、そのためにめまいや立ちくらみを起こしやすい、目がかすむ、髪の毛に潤いがない、爪が割れやすいなどの特徴があります。血は五臓の肝や心と深く関わっています。肝や心は精神的な働きも行っているため、血が不足するとイライラしたり、うまく眠れないなどの症状も表れやすくなります。
・血虚の人がなりやすい病気
睡眠障害、不安感、手足のしびれ、貧血(希発月経や無月経)、生理不順、更年期障害全般、起立性低血圧、アルツハイマーetc
〇陰虚タイプ
体内にある「陰と陽」のうち陰が少ないタイプ
陰は体を潤す働きがあるために、不足すると口や喉が渇きやすく、肌も乾燥気味になります。また、陰は「睡眠と活動」でいえば、睡眠との関りが深いために、陰虚の人は眠りが浅い傾向にあります。どちらかというと痩せている人に多いタイプです。
・陰虚のひとがなりやすい病気
不眠症、口内炎、眼精疲労、更年期障害、甲状腺機能亢進症、不妊症、自律神経失調症etc
〇気滞タイプ
体内の「気」の巡りが悪いタイプ
体内の気の流れが滞っているタイプです。気は本来、過不足なく、全身に行き渡るものです。気滞は、ギアが適正なところに入っていないために、アクセルを踏んでいるのに効率よく車が走らない空ぶかしのような状態です。流れのわるくなった気は、不必要な熱を生んでしまい、これによりちょっとしたことで怒りやすくなりす。また気が多すぎる箇所がある一方で、足らないところもあり、だるいなど気虚のような症状がでることもあります。
・気滞の人がなりやすい病気
うつ病、神経症、過敏性腸症候群、不眠症、円形脱毛症、便秘、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、頭痛、自律神経失調症、月経不順、月経痛etc
〇湿熱タイプ
「湿」とは、体に不必要な水分のことで、湿は本来体を冷やします。しかし湿熱タイプの人は湿と熱が合わさっているために両方の症状が出ます。脂っこい物、甘いもの、アルコールを好み、飲食が過ぎる傾向があり、暑いのが苦手です。
・湿熱の人がなりやすい病気
糖尿病、動脈硬化症、心疾患、脳血管障害、緑内障、不妊(女性)、脂漏性湿疹、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎etc
〇血瘀タイプ
体内の「血(けつ)」の巡りがわるいタイプ
血の巡りがわるく、不必要な血(これを瘀血という)のために、さまざまな症状がでます。唇や舌・歯茎が黒っぽい色をしていることが多く、肌もくすみがちです。女性であれば、生理痛がひどく、生理の期間も長くなりがちです。月経血に血塊が混じることもあります。
・血瘀の人がなりやすい病気
脳血管障害、心筋梗塞、静脈瘤、動脈瘤、月経痛、月経前緊張症、不妊症、便秘症etc
上田
多くの場合これらのタイプの底辺に「気虚」があります。気虚とは、生命活動を行うための基本となるエネルギー物質が不足した状態です。どのような疾患であっても慢性的なものは気が不足していますから、改善のためには、体質に応じた養生や治療と合わせて、気を補うことが重要となります。
一人のひとが一つのタイプというわけではありません。
「東洋医学的体質判断テスト」のメールを送ってくださった方に、「養生法、日常生活で特に気をつけた方がいいこと」をご返信いたします。なお、該当する項目が少ない場合、オンラインでの体質判断ができないことがあります。