治療はいつ受けたらいいか
上田
馬込沢うえだ鍼灸院
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進
roo
健康に興味のあるネコ
好きな食べ物:肉
出身地:千葉
好きな食べ物:肉
出身地:千葉
roo
疲労、冷え症、不眠症、不妊症の鍼灸治療はいつ受けたらいいですか
上田
いつでもいいよ
roo
例えば女性の場合、月経周期に合わせて受けた方がいいですか
上田
その前に月経周期について簡単な説明をしようね
roo
はい
上田
月経周期は個人差があって一般的に27~35日。生理の初日が月経周期の初日になるよ。その日から月経周期が始まって、月経が起きている間が月経期。それが終わってから排卵までが卵胞期、排卵が行われる頃が排卵期、排卵後の黄体期、の4期に分かれるんだ
roo
この周期によって体調が変化するんですよね
上田
そうだね。月経期の体調管理のポイントは気の巡りを良くして、血が留まらないようにする「理気活血」だね。つらくなければ軽めに運動するのもいいよ
roo
しっかりと経血を流すんですね
上田
そう。月経期が終われば卵胞期。排卵に向けて卵胞が育つこの時期は陰陽で言えば陰の時期だね。陰を育てるために治療原則は「調補肝腎」となるよ。卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んになって、ふつう心身共にこの次期が一番調子がいいね。排卵させ、その後の高温相を充実させるためには、しっかりと卵胞を発育させ、陰を充実させることが大切だよ。卵胞が十分に育たないと卵子が飛び出しにくいんだね。陰が育てばおのずと陽の状態も良くなる
roo
陽のために陰を育てるというのは、活動のためにしっかりと睡眠をとるのと同じですね。不眠症のところでお話がありました。しっかりと活動できれば夜も良く眠れるし、良く眠ることで昼間の活動も一層充実したものになる
上田
その通り。よく覚えていたね
roo
ええ、まあ。陰陽論は女性の月経周期にも当てはまるんですね
上田
おおよそ自然界の全ての物ことに当てはまる。女性の月経周期も例外じゃないよ
roo
女性も自然界の一部ですもんね
上田
男性もね。卵胞期の後半に排卵が起こるよ。卵子が飛び出して黄体期へと移っていく。卵子が飛び出す排卵は陽的な現象だね。排卵した後の卵胞は黄体へ姿を変えるんだ。この黄体から分泌されるプロゲステロンに体温を上昇させる働きがあるため、黄体期は基礎体温でみれば高温相、陰陽なら陽の時期だね
roo
黄体期の後半はつまり月経の前ですね
上田
そうだね。エストロゲンの分泌量が低下することで、人によってはイライラしたり、頭痛が起きたり、浮腫みやすくなったりなど月経前症候群(PMS)がひどい人もいる。この時期の過ごし方のポイントは、肝の状態を良くして、気を巡らせること。無理のない運動をしたり、入浴をうまく利用するといいね
roo
いかにリラックスできるか、でしょうか?
上田
そうだね。無理をしないことだね
roo
月経周期にはいろいろなホルモンが関わっているんですね
上田
ホルモンには決まった働きがあって、エストロゲンは主に妊娠させるためのホルモン、プロゲステロンは妊娠を維持するためのホルモンだね
roo
はい
上田
と、まぁ、こんな感じで、月経周期は繰り返されるんだ
roo
この中の、どこで鍼灸治療を受けてもいいんですか?
上田
基本的にはどこで受けてもいいよ
roo
基本的には?
上田
そう。これまでもお話した通り、鍼灸治療には、取り合えず今起きている症状を取り除くための対症療法(標治)と、そういう症状が起きないようにすることを目的に行う根本療法(本治)とがあるんだ
roo
そうでした
上田
だから標治なら、肩がコっている時や腰が痛い時など、症状が出ているときが治療をする時だね。また生理痛が激しいのなら、生理の前に治療を受けるのもいい
roo
でもそれは標治ですよね
上田
そうだね。本治とは、肩こりや腰痛や生理痛などが起きないような、もしくは起きても軽くて済むような体質にしていくものだよ。だから、根治的な治療を受けるのは、基本的にはいつでもいいんだ
roo
そういうことですか
上田
つまり、どうしても鍼灸を受けるのが辛い時や、鍼灸院に行くのが大変な時は、何もその時に受ける必要はないよ。本治療法を目的に鍼灸を受けるのであれば、むしろ体調がいいときの方がいいね
roo
なるほど
上田
標治に意味がないと言っているんじゃないよ
roo
わかります。取り合えず症状を楽にするのであれば、標治でもいいんですよね
上田
取り合えず症状を軽くしておくということも大事だよ。どんな症状かにもよるけど、その都度、その都度症状を軽くしておくということを重ねればエネルギーが蓄積されて、それが根治へもつながっていく。周期療法などは、月経周期に合わせて治療を行い体調を整えることで、妊娠することを目標にしているんだね
roo
そうなんですか
上田
でも、温めるだけでは冷え症が治らないのと同じように、標治療法だけでは中々状況は変わっていかない。それに、月経期には理気活血、卵胞期には調補肝腎、排卵期に排卵を促し、黄体期には疏肝理気、と月経周期に合わせて治療を受け続けるのは、現実的に難しいこともあるんだ
roo
生理周期が安定していない人もいますしね
上田
標治に頼らなくても、本治をしっかりとやって自力で排卵、着床、そして妊娠できるようにするのが最も理想的で現実的じゃないかな
roo
オッケーです
応急処置的に、たった今ある症状を取るために行うものを標治といいます。
その都度症状を取り除くことはエネルギーを蓄えることになり、
長い目で見れば、それは本治をサポートすることに繋がっていきますから、
標治にも意味はあります。
しかしそれだけでは、なかなか体質に対してまで働きかけることができません。
本治としての治療を受けるのはむしろ体調が良いときの方がいいですね。